ニッポンバラタナゴ コイ科 絶滅危惧ⅠA類 | |||
![]() 婚姻色 1992.5.5 多布施川水系のクリーク(佐賀市) | |||
学名 | Rhodeus ocellatus kurumeus | 大きさ | 5cm |
地方名 | たばや、でんばや、べんばや、べにばや、せきたんつー | ||
生息域 | 小水路、ため池・クリーク | ||
内容 | 小学3年生の頃、学校の帰りに佐賀城の西堀端の浅瀬でレンガ色の腹を見せながら、盛んに餌をついばんでいるバラタナゴを見つけて「熱帯魚がお堀におる」と思ったことを今でも鮮明に思い出す。
かつて、西日本のため池などに普通に見られたこの魚は、環境庁によって絶滅危惧種に指定されている。
本種の絶滅の危機は、他の動物とやや意味合いが異なり近縁のタイリクバラタナゴと交雑してしまうことで、日本固有亜種が消滅するということにある。そもそも日本の淡水魚の多くは、中国大陸から陸続きとなった時代に渡ってきて、その後とり残され、別(亜)種として分化したものである。
長い地球の歴史の中では、種の分化と平行して、分化の途上にあったもの同士が再び同化することは別に珍しいことではないかも知れないが、それが人間の不思慮で行われるとなると話は別である。
現在、大阪産のものが東京の赤坂御用地にて保護されているが、本家の大阪では既に雑種化してしまっているという。
県内でも西部を中心に既にタイリクバラタナゴの侵入が確認されており、佐賀城跡のお堀でも雑種化が確認されている。佐賀市近郊は全国でも最後の天然の生息域と思われる。行政等による緊急な隔離保護の施策を期待したいものである。
繰り返すようだが、本種の最大の脅威は遺伝子の撹乱である。ニッポン型に見えてもタイリク型の遺伝子を潜在している可能性があり、卵を保持している可能性のある二枚貝も含めて、別の水域への放流は厳に慎んでいただきたい。 | ||
![]() 産卵管の伸びはじめた雌 1992.6 晴気川水系の水路(小城市小城町) | |||
![]() 1998.9.21 多布施川(佐賀市) カネヒラとニッポンバラタナゴの雑種と思われる個体(尾ビレ基部の赤色斑に注目) |