シロチチブ ハゼ科 準絶滅危惧 | |||
![]() 1999.1.31 有明海網洗州 濱野大作氏捕獲 | |||
学名 | Tridentiger nudicervicus | 大きさ | 7cm |
地方名 | - | ||
生息域 | 河口・汽水域 | ||
内容 | シロチチブはその姿が示すようにヌマチチブやシモフリシマハゼなどと同じチチブ属の魚である。チチブ属の魚は、県内では上流側から海にかけてヌマチチブ-シモフリシマハゼ-ショウキハゼ-シロチチブの順にゆるく住み分けている。真水にも住めないが、完全な海にも住まない汽水性の魚である。シモフリシマハゼのように縞模様があるが、体側の縞模様は点列で色も薄い上、漫画にでも出てきそうな「ひげの泥棒さん」を思わせる頭部の模様など、一度見たら間違えることはないだろう。
国外では朝鮮半島の西岸と南岸、台湾などに分布する。かつては国内では有明海のみに分布する特産種とされていたが、近年になって瀬戸内海でも点々と確認されている。いずれにせよ、このような本種の分布は、過去に日本列島と中国大陸が陸続きであった頃の水系のつながりを示しているようで興味深い。有明海特産の多くの魚は、泥底または砂泥底に依存した生活をするが、本種は、砂泥底にも見られるが砂底や砂礫底を好む変わり者である。そのため、そのような環境の少ない湾奥部には少ないが、砂礫底の環境があれば河川の河口部を含めた有明海全体に広く分布する。このため、有明海の湾口部では河川の河口でも見られるが、泥底が発達する県内では、河川ではなく有明海の中の干潟でしか見たことがない。
カキ殻の多い砂泥の干潟でカキ殻の裏面に産卵する。近年そのような干潟が減少しているため、準絶滅危惧種に指定されている。 | ||
![]() 1999.1.31 有明海網洗州 (同上) |